誰も教えてくれなかったピアノ教室・音楽教室ホントの話

先生の仕事

ピアノの先生の収入事情~ピアノ教室は儲からないって本当?

ピアノ教室に通っている子どもたちの中でも、将来、ピアノの先生になりたいと思う子供は多く、「職業」の中でも専門性が高いことから、周りからも憧れられ、今も人気が高い職業と言えます。
その一方で、ピアノの先生の中から「ピアノ教室は儲からない」「ピアノの先生は儲からない」という声を聞くことも多く、果たしてピアノの先生の収入事情は本当のところ、どうなのでしょうか?

ヤマハ音楽教室の先生はグループレッスンで稼ぐ?

ピアノの先生、音楽教室となると、やはり大手のヤマハ音楽教室の先生になることが一番ベストだという考え方も多いと思います。大手に所属できるという安心感や、生徒が沢山集まるというイメージから、大手ヤマハを目指したくなるとは思うのですが、ヤマハ音楽教室と言っても実際に教室を運営し生徒を集めているのは「ヤマハ音楽教室」を運営できる楽器店であり、ヤマハがメインで生徒を集めて運営しているというニュアンスではありません。あくまで、各地域のヤマハ音楽教室を任された楽器店が運営から生徒募集まで、ほぼ全てを託されていると言っても過言ではありません。
このため、ヤマハの先生は配属された楽器店によって生徒数に地域差が生まれることも少なくありません。

さて、ヤマハの先生にはグループレッスンと個人レッスンの2種類があります。
この辺の先生の違いについては【比較】ヤマハ音楽教室と自宅個人ピアノ教室はどっちを選べばいいの?を御覧いただきたいのですが、どちらの場合も生徒一人につき先生に報酬が支払われるため、人数が多いグループレッスンができる先生のほうが、時間内に多くの生徒を教えることができるので、それだけ効率よく報酬を得ることができます。
ただし、その報酬は生徒が支払う月謝=報酬ではなく、楽器店とヤマハが手数料を引いた残りの分が報酬として支払われます。この報酬についてはコースやその先生の持っているグレード(演奏技術や指導技術に応じて与えられる級)等によって異なり、概ね40%~60%となります。
例えば、月謝6,500円のグループレッスンで生徒数5名。報酬率5割だとすると、そのクラスで1ヶ月に稼げる金額は16,250円。こういったクラスが10クラスあれば、月に16万円程度はグループレッスンで稼げますが、これだけでは収入としては少ないので、個人レッスンもおこなうことで収入を上げていきます。

 

個人レッスンでどのくらいの収入になるのか?

個人レッスンについては楽器店と先生の契約によって報酬率が変わってきますが、グループレッスンとは違って約30分に1人しか教えられないため、報酬率は若干高めの60%前後が平均となります。
ただ、1日のレッスン時間は限界があるので、夕方までグループレッスンをおこなって、夜間に個人レッスンというヤマハの先生が多く、問題は夜間でどれだけの生徒が集まるか?というところになります。
先程、グループレッスン10クラスで16万円という話をいましたが、これはまだ順調な先生のケースで、生徒の年齢が高くなるにつれて辞める生徒も増えますから、4歳のクラスの時は5人いても小学生になるにつれ3人、2人とクラスの人数は減っていくことも少なくありません。
また、個人レッスンもグループレッスンを辞めて個人レッスンに移るという生徒も多く、個人レッスンの生徒が増える=先生の生徒の合計人数が増える、というわけでもありません。

個人レッスンだけではピアノ教室は稼げない?

そう考えていくと、個人レッスンだけではピアノの先生は稼げないのでは?と思うかもしれません。
確かにヤマハに所属して個人レッスンだけだと、報酬の一部は手数料として引かれますし、時間あたりの効率も悪いため、50人くらいの生徒がいて1人でやっていけるかどうか、という収入になります。

ところがヤマハの先生ではなく、独立してフリーのピアノの先生として自宅でピアノ教室を開いた場合、月謝は全て自分の手元に入ってきますので、ヤマハの先生とはまた違った成果が現れてきます。
例えば、生徒が50人集まったとして、月謝の平均が7500円だとすると、毎月375,000円の収入となり、年収450万円のピアノの先生になることができます。
これがヤマハの先生として手数料を取られると、毎月22万円程度にまで落ち込みます。しかも個人レッスンだけで50人という数はヤマハの先生の中でも人気の先生で、一部に限られてきますので、そこを目指すよりも場合によっては独立してフリーとなった先生のほうが稼いでいることもあります。

 

ピアノの先生は稼げないと言う理由はかかる経費

ただ、「ピアノの先生は稼げない」と言う言葉をよく耳する理由の一つに、ピアノの先生は経費と労力がかかる仕事であるということもあります。
生徒にピアノを教えるためには、自分の演奏力や指導力を常に維持、向上していかなくてはなりません。そのためには、更に上の先生のレッスンを受けたり、講座に出向いていく必要や、様々なコンサートや音源を聞いて自分の演奏力と音楽に対する読解力などを深めていかなくてはならず、目指すものがあれば時には県外や海外にまで出向いて行く必要が出ることもあります。
他にもピアノの維持や、楽譜の購入。そして、よく「発表会の出演料が高い」と言う生徒もいて、発表会でピアノの先生は稼いでいると言う声も聞くことがありますが、その発表会こそが先生の労力と時間とお金が一番かかるところで、目に見える会場費などの経費の他に、生徒の演奏する楽曲の準備や自分の演奏の準備など、労力という時間という目に見えない大きな経費がかかり、仮に発表会で先生の手元に10万円残ったとしても、そこに100時間の時間をかけたのであれば、時給は1,000円程度。コンビニのアルバイトの時給とさほど変わらない稼ぎでしかなくなります。

儲かるという意味がお金ではないピアノの先生

これまでのお話から「ピアノの先生って儲からない」「なんか割に合わない仕事だなぁ」と思う方もいるかもしれませんが、ピアノの先生の多くは「お金を稼ぐ」のではなく「ピアノという好きな楽器を職業にできた人生に対して儲かったと思い」「そこで出会う生徒と人生と成長を共有できるという喜びで儲かる」という考え方の方が多いです。

 

これは、どんな職業でも通じることですが、年収1億円でも人生が楽しくない人は沢山いますし、年収300万円でも楽しい人生を送っている人はいます。その違いは何かというと、自分の好きなことができているかどうかです。

お金だけを考えると、儲からない稼げないのかもしれません。しかし、人生はお金だけではないことを考えると、もっと別なことで「儲かる」と沢山思えるのがピアノの先生という職業かもしれません。

もう一つ、大切なことを言い忘れました。
フリーで独立しているピアノの先生の中には、個人レッスンだけで生徒数が50人、70人、100人という先生もいます。
100人の先生は、年収いくらでしょう?
お金で言っても、みんなが稼げていないわけではありません。

  • 記事を書いたライター
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pomupumupupu

pomupumupupu

小さな音楽教室Webマーケター

元音楽教室管理事務とホームページ制作を担当。現在はWebマーケティングとWebデザイナーのフリーランスとして活躍中。現在も音楽教室業界との親交が厚く、家族で小さなピアノ教室を経営している。

  1. 習うと危険なヤバい自宅個人ピアノ教室・音楽教室の見分け方

  2. みんながピアノ教室・音楽教室を辞める本当の理由

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