塾の先生が言う「ピアノはそのまま続けてください」の意味
今、高校受験を控える生徒を抱える学習塾の中では「ピアノ教室に通っている子は受験まで無理のない程度にそのまま続けてください」と言う先生が出てきているそうです。
かつての学習塾は受験までは習い事を控えるように言う先生も多く、学業と習い事は結びつかないものと考えられていましたが、近年、学校教育では子供の個性を重んじ、教育の多様性が求められるようになってきているので、ただ単純に試験でいい点数を取るだけの評価ではなくなりつつあります。
その結果、特に教育に自由性が持てる私立高校では、試験の点数だけではなく子供の持つ個性や特性に目を向ける比重を高めてきています。
なぜピアノを習っている子の評価が高いのか?
学習塾の中には中学生の保護者に「ピアノを習っていないのでしたら、今からでも習ってください」という声が上がるほど評価が高いところがあり、特に難関私立高校であればあるほどピアノの重要性を伝えてくる場合があるそうです。
その理由として一つには他の子と比べてもピアノを習っている子は「成績の伸び」が段違いらしく、柔軟に発想したり考えることができる生徒が多く、繰り返し勉強する必要性を理解していて忍耐強い傾向の生徒が多いそうです。
繰り返し勉強できるということは受験勉強で点数を獲得することに生かされると同時に、高校側にしても柔軟な発想や考え方を持っている生徒を迎え入れたい思いがありますから、ピアノを習っていると好印象となり、私立高校の面接などで重視される理由となっています。
ピアノで柔らかい頭が身につくのはなぜか?
柔軟性というのは頭の柔らかさ。一つの考えに縛られるのではなく、最もベストな答えを作り上げる力ですが、なぜピアノを習っているとこの能力が身につくのでしょうか。それは、ピアノ、音楽の世界という「ルールのない自由な世界」を学んでいるのが一つの理由として挙げられます。
音楽理論としては一定のルールはありますが、音楽を表現するのにルールは無く、自分の想うように弾くことができるのが音楽です。決められた楽譜の中でも、どこに感情を込めるかということを自分なりに解釈してみたり、アレンジを変えて弾いてみたり、その曲をモチーフとして自分の曲を作ってみたり、可能性が無限に広がるのが音楽です。
また、小さい頃から音楽を学び楽器を演奏していると、感性やイメージ力を司る「右脳」が発達します。右脳はだいたい6,7歳くらいで成長のピークを迎えるので、大きくなってからはほとんど成長するのが難しい脳とも言われています。
柔軟な発想ができるようになる基礎は右脳が持っているため、幼少の頃から学んだ音楽は大きくなってからその力を発揮しだします。
柔軟な発想力から生まれる自由な勉強法
子供だけではなく、大人になってからも勉強は付きものですが、勉強の得手不得手は勉強法にもよってきます。
点数が取れない。覚えられない人は勉強法が単純で、ノートを取って意味も分からず単純に暗記するだけという方法を取っている人がほとんどで、暗記をするにしても自分が勉強していることに意味を持たせられる人ほど効率のいい勉強をおこなうことができます。
事実、学習塾でもピアノを習っている子供の暗記方法は他の子供と比べても独特で、それは曲を覚える楽譜を覚えるかのように勉強する内容に意味を持たせ、時にはメロディに乗せて覚えていくという「暗記に付加価値を持たせる」方法を取り入れるそうです。
「勉強とは暗記するだけ」と一つのやり方に縛られるのではなく、自分が心地良いと思う方法を考え出すことができる柔軟な発想をもっているからこそできる手法です。
ただ単に教科書を覚える得点主義の学習は、日本の学校教育で終わりを迎えようとしています。小さい頃から身につけてきた特性に目を向ける今の時代だからこそ、ピアノを習っていることの評価が高まっているといえます。