靴や香水、スーツなど、自分に合わせた自分だけのオーダーメイド商品というものがありますが、今、ピアノ教室の世界ではピアノレッスンを生徒の個性やライフスタイルに合わせたオーダーメイドピアノレッスンをおこなう教室が出てきています。
そして、このオーダーメイドピアノレッスンはピアノの上達だけではなく、子供にとって心や才能を最大限に成長させる手法として注目されています。
オーダーメイドで生徒さんに合わせてレッスンを組み立てるオーダーメイドピアノレッスンというものを初めて聞いたんですけど、どういうものなのでしょう？
ピアノ教室も音楽教室もレッスン時間は決められていて、レッスンカリキュラムもある程度決められているのが一般的だったけど、オーダーメイドの場合は生徒さんの要望に合わせてゼロからレッスンの内容を作っていく方式だね。
レッスン時間も生徒によってバラバラということですか？
そうだね。普通はレッスン時間というと、レベルによって変わるくらいで、1回のレッスンで30分前後が基本だけど、オーダーメイドの場合、子供だったらその子の持つ個性。大人だと仕事や家事、育児などのライフスタイルに合わせてレッスン時間を生徒ごとに決められるんだけど、もっと詳しく解説してみよう。
決められたレッスン時間が持っているデメリット
ピアノのレッスンというと、月謝・レッスン時間・レッスン回数が決められているのが当たり前だったのですが、人によってはレッスン時間が短すぎたり、子供だと特に集中力が持たないなどの理由でレッスン時間が長かったりといった問題が大なり小なり起きていました。
例えば、仕事をしている大人ですと、なかなか日頃の練習もできず、レッスンに行くときが一番集中してピアノに時間をかけられる瞬間だったりするのですが、1回30分とレッスン時間を決められているので、なかなか上達するのが難しいという人も多く、また、子供の場合、元気すぎてピアノの前で集中できない子供や、自分を表現するのが苦手で先生の前でなかなか弾けないでレッスンが終わってしまう子供など、ライフスタイルや個性が原因でピアノレッスンを長続きさせることができないケースが発生してしまいます。
本来、レッスン時間が例えば30分と決められているのは、人間の集中力が最大限発揮できるのは30分であり、ダラダラとレッスンをするのではなく、30分という集中と成長が最大限の効果を発揮する時間で効率よくレッスンを進めるためということと、1日に沢山の生徒を教えるためには30分という時間が一番適しているという理由があります。
しかし、少子高齢化で子供が少なくなりピアノの生徒人口が少なくなった今、教室によっては空き時間がかなりできてしまうケースもあり、前述した個性豊かな子どもたちや、様々なライフスタイルを持つ大人の生徒にとっては、30分という決められた時間がかえってデメリットになってしまう事が出てきています。
時代に合わせて誕生した成長が最大限になる完全オーダーメイドレッスン
そこで最近、ピアノ教室の中で誕生してきたのが「完全オーダーメイドピアノレッスン」です。
例えば、なかなかピアノの前で集中できない子供ですと30分という時間は何もせずに終わってしまうことがあります。しかし、子供の個性から時間を60分と伸ばし、弾きたくなったら弾くというレッスンスタイルに変えると、どんどん子供がピアノにのめり込んでいき、集中力が鍛えられていったという事例があります。また、週1回だと弾かないで終わることもあるので、週2回レッスンにしてみたり、人見知りが激しくピアノを引くことがなかなか気乗りしない子供もレッスン時間を長くして、気分が乗ったら弾くを繰り返していくことで、気がつけば他の子よりも上達スピードが上がっているということもあるようです。
他にも自宅練習が大嫌いで音楽教室を辞めてしまった子供が、オーダーメイドレッスンの教室に通ってからは、自宅練習も宿題もなしでレッスンだけで曲を弾けるようになるオーダーメイドのレッスンカリキュラムにして意欲が湧き、家で練習もするようになったりと、他の音楽教室やピアノ教室で上手くいかなかった生徒でも、オーダーメイドで劇的な成長を見せています。
30分という短い時間では成長するチャンスがなかなか掴めない子供も、レッスン時間を長くしたり、回数を増やしたり、宿題の有無や弾かないレッスンを自由に取り入れることで、ピアノの上達の前に心や人間性の成長を促し、最終的にはピアノの上達につながる。これがオーダーメイドピアノレッスン最大のメリットです。
【事例】オーダーメイドピアノレッスンが子供に大きく与える効果
横浜市の「こどもの国音楽教室」は、いち早く完全オーダーメイドピアノレッスンを取り入れているピアノ教室です。
→横浜市でオーダーメイドピアノレッスンを導入しているピアノ教室「こどもの国音楽教室」
レッスン時間や指導方法を「全員一緒」にするのではなく、「全員上達」「全員満足」を目指す生徒に合わせたオーダーメイドレッスンをしていて、そのレッスン事例もホームページで紹介されています。
この事例を見ていくと、ピアノの上達だけを目的にするのではなく、レッスン時間を子供の心の成長に当てることで、最終的には他の子供と同じかそれ以上にピアノが上達していく様子が分かります。
ピアノレッスンというと「ピアノが弾けるようになる」ことが一番重要のように思えますが、実際は子供の心と体、個性と才能が成長する結果としてピアノが上達します。オーダーメイドピアノレッスンはまさにピアノを通じた総合幼児教育の新しい形と言えます。
オーダーメイドピアノレッスンにはデメリットもある
しかし、オーダーメイドピアノレッスンには通常のピアノレッスンには無いデメリットもあります。これはどんなオーダーメイドにもついて回るデメリットですが、料金が通常に比べて高くなるということが挙げられます。自分だけのオリジナルを作るのですから、洋服や靴などと同じで既製品の大量生産製品よりも高くなるのはピアノレッスンも同じです。
ただ問題は、その月謝が高くなった分に、ピアノの上達と一緒に「高い成果を上げる幼児教育」としての料金も含まれていると考えられるかどうかです。オーダーメイドピアノレッスンは一人ひとりの目標を確実に達成させていくので、ピアノを通じて「目標を達成する行動力」が身につき、個性に合わせて興味を持てるようレッスンが進められていくので「興味をもつという好奇心」を産むことができ、これらの力は大きくなってからの受験や就職、仕事、人間関係などに大きく影響するものです。こういった才能をピアノの上達と一緒に身につけることができるというのが、月謝が高くなった分の付加価値だと思います。
また、オーダーメイドピアノレッスンはどの先生でもできるレッスンではありません。生徒の力や可能性を見抜く洞察力があり、その可能性の伸ばし方を知っているだけの知識と経験が必要となります。
前述した「こどもの国音楽教室」の先生は早くからこの方式を導入しているため、オーダーメイドピアノレッスンに必要な能力が兼ね備わっていますが、今後、この方式のレッスンが増えていくと、オーダーメイドピアノレッスンという言葉だけで、実際は子供の力を見抜いていないレッスンをする教室が出てくるかもしれないのでご注意ください。
