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業界裏話

ピアノの先生はなぜ独身が多いの?結婚できない本当の理由を業界人が解説

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「結婚したいけど、出会いがない」

ピアノ講師をしていると、そんな悩みを抱えたまま年齢だけが積み重なっていく、という話を同業の先生たちからよく耳にします。実際、婚活業界では「ピアノ講師は結婚しづらい職業の代表格」として広く認識されており、専門の結婚相談所が存在するほどです。

なぜピアノ講師は結婚しにくいのか。元音楽教室スタッフとして業界の内側を見てきた私が、表に出てこない実態をお話しします。


ピアノの先生が「そもそも出会えない」構造的な理由

ピアノの先生に出会いがない構造的な理由ONFAN

ピアノ講師の世界が女性に偏っていることは、業界の人間なら誰でも知っています。ただその偏り方は、外から想像するよりずっと極端です。

かつて武蔵野音楽大学のピアノ科は450人在籍していたそうですが、そのうち男性はわずか10人ほどだったという話があります。2%強です。音楽大学を出てピアノ講師になる、その入り口からすでに男性がほぼいない状態なのです。

そのまま講師として働き始めると、日常的に接する人間は生徒とその保護者、そして同僚の先生たちです。生徒は子どもが中心ですし、大人の生徒も女性が多い。先生仲間も女性ばかり。「職場に出会いがない」という状況が、構造として最初から組み込まれているわけです。

そこに追い打ちをかけるのが、レッスンの時間帯です。子どもたちが学校を終えてから来るため、レッスンは必然的に夕方から夜にかけて集中します。土日も動けない週が続くと、一般企業に勤める男性とは生活リズムがまったく噛み合いません。「平日の夜に食事でも」という、ごく普通のデートすら日程調整が難しくなってしまいます。


「生徒が増えたら婚活しよう」は一生来ない

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出会いの機会が少ないこと以上に、先生たちの婚期を遅らせている根本的な原因があります。それは「婚活を後回しにするジレンマ」です。

駆け出しの頃は「生徒が落ち着いたら考えよう」と思います。ところが生徒数が安定してきた頃には、今度は別の感情が生まれます。「結婚して引っ越したら、この生徒たちはどうなるんだろう」という迷いです。

個人のピアノ教室は、先生と生徒の人間関係で成り立っています。長年通ってくれた生徒を手放すことへの罪悪感と、ゼロから教室を作り直すことへの不安。この二つが重なって、結婚に踏み出せないまま年月が経っていくケースは少なくありません。

「次の発表会が終わったら婚活に本腰を入れよう」という言葉を、業界で何度聞いたことか。発表会は毎年来ます。その「次」は永遠に終わらないのです。


業界内の出会いルート「楽器店社員との結婚」はなぜ少ないのか

では、業界の中に出会いは本当にゼロなのかというと、一つだけルートがあります。音楽教室を運営している楽器店の社員です。毎週顔を合わせる環境ですし、音楽業界という共通点もある。一見、自然な出会いに見えます。

ところが実態はかなり異なります。音楽教室を経営する楽器店の中には、長時間労働や休日の少なさで知られるところも少なくなく、経営状況も厳しいところが多いのが現実です。先生の目線で見ると、「生活を一緒に支えていける相手か」という部分で引っかかりが生じやすい。

さらに踏み込んだ話をすると、社員と先生の交際については、会社から暗黙のうちに釘を刺されることが珍しくないようです。明確なルールとして禁じているわけではないものの、「あまり深入りしないように」という空気感が社内にある。理由は想像がつきます。仮に関係がうまくいかなくなったとき、毎週顔を合わせる職場環境が気まずくなること、また「社員の交際相手だから生徒を多く回してもらえている」といったやっかみが生まれることもある。

ある業界関係者の話によると、男性社員が50人ほどいた楽器店で、ピアノの先生と結婚した社員は一人もいなかったとのことです。出会いのルートとして存在はするものの、実際に結婚まで至るケースは極めて少ないというのが業界の実情のようです。


男性から見た「ピアノの先生」という存在

結婚しにくい理由を先生側の事情だけで語るのは少し一面的かもしれません。男性側の視点も、実は大きく関係しています。

ピアノの先生は、多くの男性にとって「憧れの存在」です。音楽ができる、優雅なイメージがある、子どもたちに慕われている。でも同時に「どこにいるのか分からない」「どうやって近づけばいいのか分からない」という存在でもあります。職場で出会う機会がなく、街中で見かけても先生かどうか分からない。接点の作りようがないのです。

そして仮に交際から結婚を意識し始めたとき、現実的なハードルが見えてきます。自宅でレッスンを続けるなら、グランドピアノが置けるスペース、防音設備、生徒の出入りに対応できる間取り。これらを満たす住環境を用意しようとすると、男性側にもそれなりの経済力が求められます。先生の収入が不安定だからというだけでなく、「先生を続けてもらうための環境整備」が結婚のハードルになるという、少し特殊な状況があるのです。


それでも結婚した先生たちはどこで出会ったのか

厳しい話が続きましたが、もちろん結婚している先生もたくさんいます。実際に結婚に至った先生たちの出会い方を聞くと、最も多いのは家族や親戚からの紹介です。昔ながらの方法に思えるかもしれませんが、自分の生活スタイルや仕事への理解がある状態で紹介してもらえるという意味で、ピアノ講師には向いている方法かもしれません。

次いで多いのが結婚相談所やお見合いです。時間的な制約が大きい職業だからこそ、効率的に出会える仕組みを活用する方が多いようです。マッチングアプリを使う先生も増えており、音楽が好きな男性と出会うきっかけとして機能しているという声もあります。

共通しているのは、「待っていても出会いは来ない」と早めに気づいて動き出した先生たちだということです。


動き出すなら、今です

ピアノの先生はなぜ独身が多いの?結婚できない本当の理由を業界人が解説

構造的に出会いが少ない職業であることは事実です。ただそれは、結婚できないということではありません。問題の所在が分かれば、対策も立てられます。

まず「仕事が落ち着いたら」という思考のクセを手放すことです。ピアノ講師の仕事に「完全に落ち着く時期」は来ません。発表会、コンクール、新学期の生徒募集…何かしら理由はいくらでも作れてしまいます。

そもそもピアノの先生に定年退職はありません。体が動いて、生徒が来てくれる限り、何歳になっても現役を続けられる職業です。それは素晴らしいことでもありますが、裏を返せば「落ち着く時期」は永遠に来ないということでもあります。婚活を仕事と同じ優先度で考える覚悟が、意外と最初の一歩になります。

次に、結婚後のキャリアを今のうちから考えておくことです。オンラインレッスンの整備、引っ越し先でも続けられる仕組み作り、パートナーへの仕事への理解をどう伝えるか。こうしたことを事前に考えておくだけで、結婚に対する漠然とした不安がかなり減ります。

ピアノを教えることへの情熱と、人生を共にする相手を見つけることは、どちらかを諦める話ではありません。それを両立させている先生が実際にいる以上、構造的な難しさを知ったうえで、自分らしい出口を探していけばいいのだと思っています。


【出典・参考】

  • 記事を書いたライター
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音葉

音葉

音楽教室ウォッチャー

音楽教室業界に関わって10年以上。楽器店での販売・教室運営サポートを経験し、現在はフリーライターとして活動中。 業界の内側を知っているからこそ書ける「誰も教えてくれなかった話」をモットーに、保護者が本当に知りたい情報、先生が言いにくい本音を発信しています。 自身も4歳からピアノを習い、今は小学生の子どもを音楽教室に通わせる"現役の保護者"。親として感じる疑問や不安も、記事に反映させています。 好きな作曲家はドビュッシー。子どもの発表会では毎回キャパ超えで号泣する、ごく普通の音楽好きな親です。

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