▶前回の記事「ピアノ教室の先生が合わない?子どもが「行きたくない」と言ったときの整理と伝え方 第1回(全2回)」
ピアノ教室の先生変更を決めたあとほど、気持ちは落ち着きにくいものです。失礼にならないか、子どもが傷つかないか、先生にどう受け取られるか。考えが増えて、連絡を先延ばしにしたくなることもあります。
ただ、区切り方には揉めにくくなる流れがあって、そこを押さえるだけで家の空気が荒れにくい場合があります。大げさな準備より、短い言葉と静かな線引きが頼りになります。
「先生を変えるのは、失敗の印とは限らない」
先生を変える話は、どうしても「うまくいかなかった」と見えやすいですが、必ずしもそうではないと思います。長く続く習い事ほど、時期によって合う関わり方が変わりますし、子どもの性格や生活の状態によっても、必要な距離感が違うからです。
合わない度数のメガネをかけると、見えているのに疲れます。メガネ屋さんが悪いわけでも、目が悪いわけでもなく、いまの度数が合っていないだけ、ということがあります。先生の変更も“相性の調整”として捉えると、誰かを悪者にせずに前へ進めると思います。
子どもが「もう嫌」と言った背景に、頑張り方が合っていなかっただけ、という場合もあります。だからこそ、辞め方は静かに、次の選び方は落ち着いて。そこを意識するだけで、親子の疲れ方が変わります。
「ピアノ教室の先生変更を伝えるとき、揉めにくくなる順番」
最初に決めておくのは、いつで区切るかです。次に、伝えるタイミングを作ります。できれば次回レッスンの直前ではなく、数日前に連絡できると、先生の側も予定が立てやすくなります。
最後に、理由の置き方です。ここで相手の指導を評価する言い方にすると、話がこじれやすくなります。家庭側の事情や子どもの状態を中心に置き、「いまはこの形で続けるのが難しい」と伝えるほうが、落ち着いて着地しやすい場合が多いです。
「円満に区切るための短い伝え方」

長い説明は丁寧に見えて、誤解の芽を増やすこともあります。二、三文で、状況と感謝を添えるだけで十分だと思います。
家庭事情型
最近、家庭の都合で練習や通う時間の確保が難しくなってきました。今月末でいったん区切りにしたいです。これまでご指導いただきありがとうございました。
相性ぼかし型
子どもの気持ちの負担が増えてきていて、いまの形で続けるのが難しくなりました。一度退会いたします。これまでありがとうございました。
短く区切る型
今月末で退会させてください。これまでありがとうございました。
「引き止められたときは、話を広げないほうが揉めにくい」

先生から「もう少し様子を見ませんか」と言われることもあります。その提案自体はありがたいのですが、家庭側で区切りを決めているなら、ここで議論を広げないほうが揉めにくいと思います。理由を足すほど説得の余地が生まれてしまう場合があるので、感謝を伝えつつ、決定は変わらないことだけを静かに繰り返すと空気が荒れにくいです。
「お気持ちはありがたいです。ただ、家庭で話し合って今月末で区切ることに決めました。ここまで本当にありがとうございました。」
「ご提案ありがとうございます。いまは子どもの負担が大きく、いったん退会する形で進めたいです。お世話になりました。」
「申し訳ありません、決定は変えない予定です。ご指導いただいたことには感謝しております。」
「事務の確認だけは、淡々と済ませておく」
気まずさがあると、連絡文ばかり悩んで手続きが抜けることがあります。けれど、ここは淡々と確認したほうが揉めにくいです。月謝の締めや教材費の扱い、発表会費などの精算があるか、貸し出し物があるか。教室によって決まりが違うので、案内や規約があれば軽く目を通しておくと安心です。
最後のレッスンで「気持ちを伝えるべきか」は、子どもの様子次第でいいと思います。無理に感情の場にせず、普通に挨拶して終えるだけでも十分に丁寧です。子どもが緊張しやすいなら、帰り道に好きなものを買うなど、終わりをやさしくしてあげるだけでも印象が変わります。
「子どもの心が折れにくい移り方」
子どもがいちばん不安なのは、「また同じことになったらどうしよう」という感覚かもしれません。親が急いで次を決めるほど、子どもは置いていかれる感じになりやすいので、短い休憩期間を作るのも選択肢です。数週間だけ「弾きたいときだけ」にして、ピアノから距離を取って呼吸を戻すと、気持ちが立て直る場合があります。
前の教室でできたことは、小さくても残してあげたいです。「ここまで弾けるようになった」「この曲は好きだった」と経験を肯定して終えると、次に向かいやすいと思います。辞めた理由を家の中で何度も繰り返すと、嫌な記憶だけが強くなることがあるので、話題は短く区切っていいと思います。
「次の先生は、不安が減る条件から探す」

いまは地図や口コミに加えて、教室のホームページやSNSでも雰囲気が事前に分かりやすい場面が増えています。候補が見えるだけでも「もう行く場所がないかも」という不安が少し薄まり、子どもに合う関わり方を落ち着いて探しやすくなると思います。
次の先生選びは、「前がだめだった理由探し」より「次は何が合いそうか」を考えるほうが心が疲れにくいです。説明がゆっくりのほうが安心するのか、テンポよく進んだほうが落ち着くのか。間違えたときに声をかけてもらうほうがいいのか、自分で考える時間があるほうがいいのか。こういう好みは上手い下手とは別の話で、子どもの“安心の形”に近いほど続きやすいと思います。
体験レッスンがあるなら、レッスン中の印象だけではなく、帰宅後の表情も見てあげると判断しやすいです。終わったあとにどっと疲れているか、少し晴れているか。小さな差ですが、家庭に戻ったときに出る場合があります。
先生を変える決断は、勇気が要ります。けれど、丁寧に区切って子どもの心に余白を作り、次の場所を探していく流れが作れれば、過去も未来も必要以上に傷つかずに済む場合があります。焦らず、少しずつで大丈夫だと思います。